主役と主題

 

清川美術館の写真展も終わり、来年早々に行われる新宿御苑の写真展に心は移行している。清川の写真展を見て、感じたことは種々ある。その一つが題名(タイトル)の決め方である。題名は撮影意図を見る人に伝える大切な手段であるが、安易に考えられているように思われる。

 写真の技術的な問題ではない上、撮影意図は本人にしか判らないため、展示作品を選定する際、題名まで考慮に入れていないが、もっと題名の選択には配慮すべきであろう。

 題名の付け方について、下記事項を再確認して以降の写真展に生かして欲しい。

  主役と主題

主役とは「その作品で軸になる被写体」であり、主題とは、「作品のテーマや作者の撮影意図」である。見る人が作品の主役を見つけることは容易であるが、主題を見つけるのが難しい場合もあるし、正確に解釈出来ない場合もある。それは主題を撮り、表現した作者の側に問題がある。

 被写体を撮る時、何を感じて撮影するのか撮影者が意識していなければ、

出来上がった作品にメッセージは伝わらない。

 主役と主題をはっきりと意識して撮影に臨んで欲しい。そうすることによって、主題にまで心の通った作品が出来るはずである。

 

  題名

題名を必要としないという写真の見せ方もあるが、題名は作品の一部である。

題名には、前記「主題」を記載し、撮影者の思いを見る人に伝えて欲しい。

地名や植物名を記載した作品も良く見られる。しかし、このような題名は、殆どが主役を表したものであり、作品の題名としては適切ではない。そこから、見る人が作者の意図を汲み取ることが出来ないからだ。

ただ、「花」、「山」、「滝」などをテーマとした写真展では、夫々の固有名詞をつけて題名に代える場合はある。テーマが「自由」で色々なモチーフの作品が展示される場合には、是非、撮影意図を見る人に感じさせる題名を付けて欲しい。

月例会でも作品に「題名」を記載してもらっている。題名を付けられないような作品は、撮った写真ではなく、撮れた写真でしかない。

 

 

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